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仕事で薩摩川内市や海老名市、上越市など10〜20万人規模の地域課題に接してると
新聞やテレビで聞こえてくるグローバルな経済の話しやアベノミクスとギャップを
感じることが多いように思ってました。そんな疑問解消の一助になる情報がつまってる本でした。 

まず第一に、上場企業の経済活動は日本のGDPの30%程度で企業数にして数%。
中小企業の90%以上は非製造業であり、ローカル経済圏を対象にしている、という事実。


つまりはグローバル経済圏の企業がいくら発展したところで、ローカル経済圏には
直接の効果はあらわれにくい。

確かに自分が新潟県上越市で6年間働いていた時、テレビや新聞で報道される経済ニュースって
まったく実感わかなかったし、違う国の話しのようだったことを思い出しました。

グローバル企業が多く現れるスマホや半導体、液晶、自動車などは世界の上位10社程度で
マーケットシェアの80%以上をしめるが、ローカル企業の典型、小売業になると10%以下。

ローカル経済圏を考える際、重要なデータが生産年齢人口(15〜64歳)
前年比で116万人減、8,000万人を割ったのは1982年以来32年ぶりだそうです。

地方のほうが先に高齢化が進むため、生産年齢人口も先に減り始める。
地方には仕事がないから若者は都会に、
地方のサービス産業(医療・福祉・介護)の需要は主に高齢者。
小売業についても、高齢者はネットに抵抗あるので昔ながらの対面型だし。。


こうみてくると、巷で言われているサービス業の人材不足が実はアベノミクスなどの
好景気ではなく、地方においては人口構成の構造的な問題であることがよくわかりました。

さらには増田寛也氏の「人口減少問題研究会」によれば、2040年までに、
全国1,799の市町村のうち、523(約30%)が実質消滅するという衝撃的なデータもあり。

地方は人手不足、雇用と労働のミスマッチ。
若者は大都市に流出するものの大都市での子育ては環境が整わず厳しい。
こんな悪循環で少子高齢化に拍車がかかるのもうなづけます。

グローバル企業はマスメディアや本でもとりあげられるよう、ある意味変わらずに
「自己変革をして成長し、世界に飛躍、豊かな未来を」目指すのでしょう、

個人的にはあまり縁も関心もない領域です。

問題はローカル企業。
その特性から言っても世界チャンピオンを目指す必要はなく県や市のチャンピオン
になれば良い
と著者は指摘してますが、それも簡単ではないでしょう。

ただ内容に公共的業務が多いため「誇りや社会的意義、使命感」をモチベーションに
持つ人がどんどん関わっていくのが理想でしょう。


日本の就活でも、世界的・経済的成長がモチベーションならグローバル企業、
社会的意義や使命感ならもっとローカル企業に目がいくようになってくると
人材のバランスもとれてくるのだと思います。

著者指摘の通り、ローカル企業生き残りに重要なのはM&Aをからめて企業の代謝を高めること。

そして、まずは1人あたりの労働生産性をあげること。

確かに、ローカル企業にはまだまだIT武装の余地もあると思いますし、仕事の仕方の工夫や
スキルアップの可能性もあるのでしょう。
それを前提に、女性と高齢者を活用。都心よりは子育ての支援者も多いので可能かと。

よく言われる外国人移住者は最後の手段。これは、欧米諸国と日本ではあまりに
国情も違うため、労働力が足りないからといって安易に移民促進しても、
結局コミュニケーションの問題からも、生産性が高まらないのではという見解。


仕事でまちづくりや地域活性というテーマに触れることも多いですが、
その度に思うのは、やはり若者が出身地域にポジティブに住み続けられることかな、
と思います。そのためにもまずは必要なのが地域で食べて行けるだけの仕事があること。

理想を言えば地域資源を使った起業になるのでしょうし、そのためのキャリア教育や
行政支援も必要だと思いますが、まずは既存企業の生産性を高めることに、もっともっと
集中しなければいけないな、と実感しました。

今週、薩摩川内市のフューチャーセンターづくりに先んじて、課長さんたち10名の課題を
聞いてきましたが、印象的だったのは交付税150億が110億に減収すること、そして企業誘致を図るも
市役所の方々の営業では出身者など縁故者に限られることでした。

自分を含めて他地域のビジネス経験者が手伝える事もありそうだし、そういう動きを
もっと自然に発生しやすくする仕組みをつくっていきたいと思いました!

(青字:本文抜粋)