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中長期予測というと、難解で悲観的なシナリオが多いように感じますが、
とてもわかりやすくポジティブなシナリオでした。

シナリオの骨子はシェールガスと水素により石油需要が減り、エネルギーコストが
さがることでよいデフレになるということ。

よいデフレは、所得の下落率が物価の下落率のほうが低いこと。

企業が製造拠点を決めるうえで重視するのは
①人件費 ②エネルギー価格 ③法人税率

①の人件費は、中国が2001年〜2013年で4.8倍、年率14%の増加。
2025年には日本の地方都市と中国沿岸部でほぼ差がなくなるというのは共感。

②のエネルギー価格はシェールガス、水素に加えて来年から段階的に始まる
電力自由化で、丸紅、東京ガス・大阪ガス、ソフトバンクなどの民間企業の
競争によって、著者によれば電気料金は半分!になる可能性ありと。

③の法人税率、これは解釈の問題で、今高いことをポジティブにとらえれば
引き下げ余地があるとしています。

個別に深く分析すれば諸説あるのでしょうが、日本が世界で再び元気になるとしたら
①〜③のようなシナリオが実現する時なのだろう、と発想は拡がりました。

成長産業は「農業」「観光」「医療」

これは薩摩川内市をはじめ行政と地域活性のお話をする際、共通して出てくる
ジャンルで、可能性があることは間違いないと思います。

農業については、諸外国に比べた生産性の低さや減反政策の変更、
あるいは遺伝子組み換え作物との対比による相対的な価値上昇などはチャンスと
書かれています。

観光でいえば、外国人訪問者数で日本は27位、アジアでも8位が現状。
タイやマレーシアのように医療ツーリズムなど、国をあげての戦略、施策しだいで
大いに増やせるのではと個人的にも期待しています。

最後に面白かったのが、日本の出生率をいまと変えず、平均寿命が5歳延びると
仮定した場合の3つの選択肢。
①社会保障を現状維持のままで、消費税を40%に引き上げ
②社会保障を3割削減して、消費税を30%に引き上げ
③退職年齢を75歳に引き上げて、消費税を20%に引き上げ

国民皆年金ができた1961年、当時の平均寿命は68歳だったと。
支給開始年齢が60歳のため年金受給期間は8年というシミュレーションだったようです。

一方、いまの平均寿命は84歳、当時より16歳も延びています!
受給期間を同じ8年で考えたのが③の案で逆算して75歳まで働くと。

健康面や意識面でいけば可能だとして、問題はそれだけの高齢者を雇用する器が
あるかだと思います。

そう考えると、尚更のこと、日本の8割とも言われる各地域におけるサービス産業の
活性が重要だな、と認識を新たにした次第です。



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