個人的な今年のGo Nextの一つが地域包括
ケア。都農町のプロジェクトを通して、地域
包括ケアとまちづくりの関係をマネジメント
だより434でも記しました。

今週、宮崎県都農町の総合保健福祉センター
プロジェクトのプレゼンをしてきました。

昼から懇親会まで、河野町長、都農町と提携
した宮崎大学医学部 吉村教授をはじめ、
町議会黒木議長、稲山副議長など、幼稚な
表現すると町の偉い人が全員集まりました。

個人的な感想ですが、皆さん、とても思考能
力と行動力が素晴らしく、同時に、厳しい町
だからこそ楽しく!とUDSにも通じる明るさ
を欠かさないところに大変共感してます。

夜、河野町長からじっくりとお話を聞かせて
頂き、今の地域における根本的な医師不足、
医療体制の脆弱さを等身大で理解することが
できました。

当日、宮崎大学医学部と都農町で視察をして
きた地域医療の先進地、ポートランドにある
オレゴン健康科学大学家庭医療学講座の報告
も共有させて頂きました。

わかりやすく言うと、日本においては医師免
許を取得してもほとんどが大病院勤務となり
地域に残る人は1.8%しかいないのが課題。

法律で「家庭医」を義務づけているイギリス
などでは当然50%を超える医師は地域に値づ
いています。

既に高齢化率35%近い都農町にとって、医師
の確保は存亡のかかる社会課題。

そのような課題を見据えて河野町長は早くか
ら宮崎大学医学部にアプローチし、国がとな
える地域包括ケアの体現例として、医療と、
保健福祉介護の連携につながる提携を実現さ
せました。


提携により、宮崎大学医学部の研修医が定期
的に地域医療の実習で都農町で滞在し一人で
も多く、都農町を知ってもらい将来の医師確
保につなげれば、という戦略です。

いまUDSが手がけている保健福祉センターは
病院に隣接、通路でつなぐため宮崎大学と、
行政職員、さらには町民にどう交流してもら
えるか、つながりやすい場づくりがテーマで
責任重大だと身を引き締めてます。

一方で、宮崎大学の吉村教授の立場からは、
学生たちに、一人でも多く地域医療を体現す
る総合診療医(町医者)を目指して欲しいと
情熱を持って教育をされています。

https://www.facebook.com/850229481766647/videos/1598581240264797/

宮崎大学と都農町が目指している理想は、
「日本におけるへき地医療教育のモデル化」

都農町で総合診療医が育つ仕組みをつくり
まちづくりのお手伝いをしながら医療、行政
町民が一体となり未来を切り拓いていくヒン
トを発信したいと考えています。

少し、国全体の課題として対外的に開示され
ている内容もご紹介しておきます。

2025年問題、と言う言葉を聞いたことある
人も多いかと思います。

団塊世代が皆75歳以上になるのが2025年。
今でも75歳以上は人口の13%で医療費の
38%を占めています。

このまま75歳以上が進むと医療費がさらに
高騰していくと言う課題です。

ちなみに、団塊世代とは1947年〜1949年に
生まれた第一次ベビーブーマー世代。

1947年の出生数は267万人です。

私が生まれた1967年は194万人。
そして昨年の出生数は史上最少の92万人。
ほぼ3分の1に減少しているわけです。

2014年に医療介護の法律改正で、都道府県
ごとに地域医療構想を策定し2025年の必要
病床数を出すことが義務づけられました。

量的な問題と合わせて質的な問題は病気の
種類が変わってきたことです。

急性期の病気は2025年の想定数より現時点
でオーバーしてしまっている一方で、回復
期に必要な病床数は推定37.5万床。

対して現状は12.9万床と大きく不足。

さらには新たに介護施設や在宅医療など
病院以外での対応が必要なのが30万人分。

これらを背景に、地域包括ケアシステムの必
要性が説かれ、医療・介護の様々なサービス
を組み合わせたり、専門職同士の連携とネッ
トワーク化、必ずしも制度にはない日常生活
上の支援が必要とされています。

医師側の立場から見れば、これまでの医師の
仕事が「患者の病気を治すこと」だとすると
これからは病気だけではなく、家庭内での移
動、着替え、食事、排泄などなど生活支援に
重点をおく必要が高まります。

結果、医師一人でできることは少なくなり看
護師、薬剤師、栄養士、介護スタッフなどと
の連携、つまりはコーディネイト力が問われ
てきます。

地域包括ケアが医療と介護の連携だとすると
もう一つ外環に、制度以外のつながりである
ご近所や友人、ボランティアなど地域まるご
とケアが必要になるということです。

INTILAQや、HLABの小林さんを紹介頂き
お世話になっている東京大学医学博士の
黒川清先生から、東京都庁
職員向け研究会「超高齢社会における東京の
あり方」での講演をオファー頂きました。

その際、なぜ僕に頼むかの説明でなるほど
と思ったのが、最近、そして、これからの
病気で増えていく一方なのは間違いなく生活
習慣病でありメンタル系のもの。

これは医師の専門分野を超えており、どんな
に医学を勉強するよりも、まちづくりの方が
大切なのではと言いたくなるぐらい。

なので人と場をつなぐコミュニティをつくる
のが得意なUDSに、どうやれば地域の人たち
がお互い顔の見える関係になり、いざという
時にケアができるか、そのヒントを話して
ほしいと言われました。

今回、都農町でその一つの実践をできること
になりそうでやりがいを感じていますが、
皆さんの日々の仕事においても、まちづくり
や地域の課題に深く入れば入るほど、地域包
括ケアの必要性は出てくると思います。

ホテルやレストランのまちにとっての在り方
や地域の人たちからの期待値も変わってくる
かもしれませんね。

この問題に、UDSとして、個人として何が
できるかはまだまだ手探りですが、
Go Nextしていきたいと思います

(2019/02/24_マネジメントだより_447)